現代美術センター・CCA北九州では、2008年7月28日から9月12日まで、
「ヴィデオ・スクリーニング 2」を開催しました。
CCA北九州のビデオ・アーカイヴ・コレクションの中から、貴重な映像作品や資料を取り上げプロジェクト・ギャラリーにて上映する「ヴィデオ・スクリーニング」の2008年度2回目は、カール・ マイケル・フォン・ハウスヴォルフとトーマス・ノルダンスタッドのビデオ作品、「日本 端島」(2002)を上映しました。
カール・マイケル・フォン・ハウスヴォルフは1956年、スウェーデン、リンコピンに生まれ、現在はストックホルムを拠点に活動しています。
ハウスヴォルフはサウンドや映像、写真、インスタレーションなど、様々な素材を使って制作しています。「境界線についての問題」に焦点を当てた作品やプロジェクトでも知られ、1992年に アーティスト、レイフ・エルグレンと共に世界中のあらゆる国の間にある国境線を領有するエルガラン-ヴァルガラン国を建国し、釜山、ヘルシンキ、イスタンブールでは、新しい「身分証明書」を持ち国境を越えるだけでアジア化、ヨーロッパ化、韓国化、日本化、スウェーデン化、フィンランド化できる「-izers(-化するもの)」を制作しました。また、「他界」とのやりとり、つまり、いかに 死者と話をするのかということについても多くの研究・活動を行っています。様々なインディペンデント・レーベルより数多くのLP、CDを発表、またキュレーターとしても活動しています。
ハウスヴォルフは2001年、CCA北九州に滞在中に、長崎県長崎市にある端島を訪れました。かつて日本の近代化を支えてきた炭鉱の一つであった端島、通称「軍艦島」は、最盛期には 当時東京の9倍の人口密度に達しましたが、その後主要エネルギーの移行から次第に衰退、 ついには無人島となりました。全ての建物はそのまま放置され、よって廃墟となり倒壊の危険もあるため現在では立ち入り禁止となっています。ハウスヴォルフは、その歴史と今ある光景に衝撃を受け、一旦帰国後制作のために再来日、同じくアーティストでもあり映像作家でもある トーマス・ノルダンスタッドとともに今回上映される映像を完成させます。船で島へ向かうシーンから始まる「端島 日本」でカメラがとらえるのは、今にも崩れ落ちそうな、それでいて当時のまま巨大にそびえたつ建物や、ボロボロのベッド、床に転がる子どものおもちゃやミシンなど、 まるで時間から取り残されたような事物です。しかし廃墟と呼ぶにはあまりにも生々しいその光景は、人間の持つ力とそこから生まれる繁栄の素晴らしさと同時に、その裏に潜む貪欲さや虚しさもさらけだし、時や場所といった概念を超え、私たちに訴えかけてくるのです。
“Hashima Japan”
2002年 30分